フープフラフープ

はらの趣味です

ずっとここにあるよ

ハイキュー!!の映画を観るために2月19日からアニメをマラソンしていた。本編85話+番外編5話の計90話を、ちょうど4週間かけて観たことになる。長いようであっという間で、烏野の人たちと一緒に泣いたり笑ったりドキドキしたりするのがすごく楽しかった。映画もめちゃくちゃ楽しみだけど、この楽しい時間が終わってしまうのがすごく寂しい。受験に合格してあとは卒業式を待つだけになって、追われるものがなくなって空っぽの状態でだらだらする幸せを満喫したあの期間みたいだ。

 

今観たい映画ランキング

  1. ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦
  2. DUNE 砂の惑星 PART2
  3. アーガイル
  4. 変な家
  5. 落下の解剖学
  6. ドラえもん 地球交響曲

未公開だと、デデデデ、ゴーストバスターズオッペンハイマーあたりが楽しみ。DUNEは時間が長いから元気な時しか行けないよなあ。変な家は原作ファンに不評みたいだけど、ホラーは文章と映像で恐怖の軸や受け手が使う脳の部分が変わるから、原作ありホラーって映像化するの難しいだろうなあって思う。あたしゃぶっとびトンデモホラーが観たいぜ。

 

改めてハイキュー!!、本当によかった。原作も大好きだけど、この作品は映像化がものすごく映える。スポーツ作品だから映えるっていうのもあるし、意外と原作の文字の量が多いから、文章が文字ではなく音声として流れていく方がテンポがよくて馴染みやすく感じる。なにより、スピード感・迫力の漫画的表現をうまくアニメーションに落とし込めていることが大きい。『令和ロマンの娯楽がたり』でくるまさんが”リアルとリアリティ”の話をする際に、漫画とアニメーションだと想像の余地が広い漫画の方が好きだというようなことを言っていた(気がする)。確かにアニメ化して思っていたのと違ったり映像がしょぼかったりするとがっかりするけど、その想像の上をいくアニメーションを見せられたとき、アニメが大好きなのだということを強く実感する。文章、漫画、音声、アニメーション、実写、その他にも創作媒体ってわたしが考えつくよりきっとずっとたくさんあるんだろうけど、時間をかけて何本もの作品に触れていく中で”その媒体だからこその表現”を活かしている作品に出会えたとき、『ハイキュー!!』でキャラクター達が体感していた”バレーを好きになる瞬間”と同じ類いのものを得られている気がする。その感覚が忘れられないから、わたしは創作物が好きなのだと思う。

 

ハイキュー!!の余韻に浸りたくて、すぐに主題歌のプレイリストを作って、流しながら洗濯物を干したり歌ったり踊ったりごろごろしたりしていた。『イマジネーション』と『天地ガエシ』以外はフルでちゃんと聴くのが初めてで、TV版との違いを見つけていくだけで楽しい。うちのテレビは音が悪いので、スピーカーで改めて聴くとベースがよく聞こえる。たとえばtacicaの『LEO』なんかTV版と全然印象が変わる。ベースが静かに力強く動いていて、それこそ烏野の選手たちみたいで、コピーしたらすごく楽しくて気持ちいいだろうなあと思った。どの曲もアニメで聴いた時よりずっとずっと好きになった。ハイキュー!!の主題歌順番にカラオケで歌う遊びがしたい。

tacicaをわたしに教えてくれたのは、高校時代に組んでいたバンドのギターの女の子だった。その子はBUMPが好きで、「北のBUMPって言われてるバンドがあるよ」と『jacaranda』のCDを貸してくれた。一緒に東京ワンマンに行って、出待ちして猪狩さんにサインを貰った。当時のわたしは出待ちってなにをすることなのか知らなかったからサインを貰うものがなくて、失礼ながら折りたたみ傘の薄ピンクの袋にサインをいただいた。彼女は他にも様々な音楽を知っていて、ギターが上手でおしゃれで賢くてかわいらしい子だった。

その子含むバンドメンバーと、数年ぶりに今日集まった。知り合ってから15年くらい経つのに3人とも見た目が全然変わってなくて、わたしも「全然変わらないね」って言われた。だけどギターはあの頃知らなかったロングコートダディのステッカーをスマホケースに入れていて、ドラムはどんどん転職して違う世界に行こうとしていて、ボーカルは結婚して子供ができていた。あの頃開いていなかったピアスホールがみんなの耳にあった。会わない間に知らないことが増えて、言葉と言葉の隙間を埋めるように近況報告や思い出話をする。何を話そうかと少し無言になる時間があったりして、正直「時間なんて少しも経っていないかのように大いに盛り上がる」なんてことはなかったんだけど、そのぎこちなさが愛おしかった。その間を手探りで埋める作業こそが、大人になったわたしたちに必要な作業なのだと思った。また近いうちに3人に会いたいと思った。

同時に、取り巻く環境によって価値観や倫理観が大きく変わるのだということを実感させられた。普段接している人は同業種の人しかいないしインターネットの友達とは仕事の話はしないから、他業種の人と仕事の話をしたのは久しぶりだった。わたしの根底は揺らいでいないと思うけど、いつのまにか失っちゃいけないものまで失っていたかもしれないことに気づいて、このまま今の考え方にどっぷり浸からないように気をつけようと思った。3人とも優しく素敵な大人になっていて、とても羨ましかった。

帰りにちらりと見えたドラムのスマホの待ち受けがaikoで、高校時代からずっと彼女の大好きなものが変わっていないことに嬉しくなった。変わっていくことが当たり前であり、良い変化は退化ではなく進化なのだから絶対あった方がいい。だけど変わらない物が光って見える。思い出が輝いている。共通の記憶を確かめ合うことが、嬉しくて仕方ない。大好きだったあの時間が確かなものであったと、ずっとどこかに残しておきたい。

23/24

無限に時間があったらいいのにと思いながら、三が日の最終日を家でごろごろして過ごした。この年末年始、いろんなことを考えたし何度もはてなブログやnoteを開いて文章を書こうと思ったけど、何も書けなかった。夏だとか年だとか、なにかの終わりを迎えることが苦手だ。なにかが終わるのになにもできなかった自分がいやになるから。

夕方、思い立って部屋の模様替えをした。新しくなった部屋を使いたくて、1メートル横にずれたデスクのパソコンを開いて見切り発車でブログを書き始めた。内容は去年のまとめと今年やりたいことにしよう。こういうまとめをするのが2023年内に間に合わないのがとてもわたしらしい。

 

 

2023やってよかったこと

・京都一人旅

友達との旅行じゃやりにくい「好きなだけ寝る」「現地の映画館にいく」「好きな場所でぼーっとする」「なんでもない場所を歩く」「気分で予定を変える」といった行動と京都の相性がすごくよかった。今度は一眼を持ってどこかに一人旅に行きたい。

・引っ越し

4月に越してきたマンションの壁が薄く昼夜問わず両隣の騒音が酷かったので、夏前に今の家に引っ越した。エレベーターがなくなり間取りも狭くはなったけど、隣の音がほとんど聞こえなくてすごく快適。今後引っ越すことがあれば防音だけは妥協しないようにしようと固く決意した。かなり住みやすい部屋なので、しばらくここに住みたい。

・本を作った

誰かと一緒になにかを形に残すということがこんなにも楽しく素敵なことだと知れて嬉しい。元気がなくなったら部屋の隅に飾ってある「街の声」を眺めている。きっとこれからもわたしの人生のおまもりでいてくれる本だと思う。

・人と会った/友達ができた

フォロワーさんと初めて会う機会がたくさんあった。「はら」のアカウントを作った頃はこんなふうにインターネットで友達ができるなんて全く思ってなかった。会ったことのない人って機会や口実がないとなかなか会いましょうってならないけど、その機会や口実を取りこぼさず会いたい人には積極的に会うようにしていきたい。そんでできた友達を大切にしたい。

キングオブコントをみんなで観た

フォロワーさんに誘ってもらってKOCを観た。めちゃくちゃ楽しかったからまたやりたいな。

 

2023行ってよかった公演

・カネコアヤノ 日本武道館2023

初めての生カネコアヤノ。アーケードの衝撃と美しいライティングが忘れられない。

・宝飾時計

クライマックスの歌唱をもう一度生で聴きたい。

BUMP OF CHICKEN be there

花畑のように黄色く光る客席がとてもきれいでピックスモブがいやじゃなくなった。終わった後セトリカラオケして楽しかった。

・ダウ90000 夏の八演会

バンド演奏や一発ネタなど、いつもと違うダウ90000が見られて楽しかった。真横を飯原さんが通ったときにあまりにも浴衣が似合っており一瞬で顔ファンになった。

・3markets[] トビウオ祭 夏

・Gパンパンダ ソロライブ

・十九人 ファンク

ASIAN KUNG-FU GENERATION サーフブンガクカマクラ

羅針盤」「アンダースタンド」「ループ&ループ」「遙か彼方」人生で一番いいアジカンのライブだった。

・Gパンパンダ 2024エントリーNo.1

Gパンパンダのコントが本当に大好き。今年KOC決勝いくんじゃないかと思う。

・ネクライトーキー ゴーゴートーキーズ!2023秋

ZEPP新宿のスクリーンを大活用したライブ。自分がネクライトーキーとうつっているMVが会場で流れて泣きそうになった。初めてライブを観たあの日から変わらないものを毎回ブラッシュアップして届けてくれることが本当にありがたい。

・さいたま国際芸術祭2023

映画の世界を好きに見学できたらこんなかんじになるのだろうか。日常に溶け込む非日常が芸術になって襲ってくるような展示。水面の展示がすごくよかった。

・Gパンパンダ GERA公開収録

 

2023よかった配信

・Aマッソ 滑稽

現実と虚構が融けて混ざり合うような恐怖演出が最高に最悪だった。笑いと恐怖の境界線がぐちゃぐちゃにされていく感覚はまさに滑稽。劇場で体感したかった。

・ダウ90000 20000

公演中止となり残念ながら配信で鑑賞。「大親友」が一番好きなコント。

 

2023よかった映画

・恋人はアンバー

京都の出町座で鑑賞。LGBTQ+と自分らしさ。ファッションとデートシーンがとてもかわいい。

・バビロン

ハイテンポエンタメ。映画を撮る映画。後半でてくるマフィアのボスが好き。

・イニシェリン島の精霊

おじさんたちが仲違いする映画。人との距離をはかることの難しさについて。友達ってなんだろう。

ちひろさん

自分と他人との適切な距離は人によって違い、その違いを肯定してくれる映画。

・エンパイア・オブ・ライト

映画館で映画を観るシーンが本当に素晴らしかった。写真のように美しい風景。

・ベイビーわるきゅーれ2ベイビー

キュートな殺し屋の映画。アクションシーンがパワーアップしていて楽しい。

長ぐつをはいたネコと9つの命

アニメーションとしての繊細さを捨てることで得られる臨場感。2Dと3Dのいいとこ取りをしたような映像。

ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り

TRPGが原作の傑作ファンタジー映画。海外児童文学が好きだった人におすすめ。

名探偵コナン 黒鉄の魚影

哀ちゃんが最高すぎる映画。

・怪物

廃バスの窓を内側から撮ったカットが衝撃的だった。

・きさらぎ駅

配信。2ちゃんねる発祥の怖い話。映像はチープだけど構成が新しくて面白い。

・バッドガイズ

配信。ワルの動物たちのアニメ映画。

・ミッションインポッシブル デッドレコニング PART ONE

アクションのすごさだけで160分もたせるのすごすぎ。

・アフターサン

疎外感の映画。父と娘の短いバカンス。説明台詞が少なく映像が感情を雄弁に語る。

・ほつれる

冷え切った関係性がもたらす絶妙な空気感の精度があまりにも高い。

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!

ジュブナイルアニメ映画。アニメーションの新しい表現に挑戦している。

ガールズ&パンツァー 最終章 第4章

ガルパンはいいぞ

スコット・ピルグリムvs邪悪な元カレ軍団

配信。好きな女の子の邪悪な元カレ軍団と戦うだけのバカ映画。音波バトルシーンが大好き。

 

2023よかったアニメ・ドラマ

スコット・ピルグリム テイクス・オフ

途中から映画と違う流れになり、ヒロインが真相究明のため元カレたちを通して自分と向き合っていく脚本が素晴らしい。映画とセットで観たい作品。映像表現もレベルが高く見ていて楽しい。

・ブラッシュアップライフ

・この動画は再生できません2

かが屋のふたりが主演の低予算ホラードラマ。

NETFLIX版ワンピース

・日常の絶景

日常に潜む絶景を同僚と見に行くドラマ。こういう休日が過ごしたいんだ。

・グッド・オーメンズ シーズン1

地球を好きになっちゃった天使と悪魔が仲良くなって、地球滅亡を阻止しようとするブロマンス。

 

2023よかった本

角田光代 愛がなんだ

大好きな映画の原作をやっと読んだ。マモちゃんが成田凌とだいぶ違う人物像で、同じ台詞でも意味が変わってくる場面がありまた映画が観たくなった。

よしもとばなな デッドエンドの思い出

オールタイムベスト。心の奥に転がっていた大事な物を表題作に掬い上げてもらった。

・夏木志朋 二木先生

・高瀬隼子 いい子のあくび

人の悪意をここまで詳細に言語化している本に初めて出会った。

 

2023よかったゲーム

スプラトゥーン3

フォロワーさんまた遊んでください。

・リングフィットアドベンチャー

7日くらいでやめちゃったので今年はちゃんとやります。

・7Days to End with You

言語解読ゲーム。相手の言いたいことがだんだんわかるようになっていくのが楽しい。

・refind self

RPGでとった行動から性格を分析する診断ゲーム。人の結果と比較したりできて楽しい。結末で泣いてしまって先に進むのがつらかった。

ゼルダの伝説 ブレスオブワイルド

数年かけてやっとクリアできた。ティアキンもやりたい。

 

2024やりたいこと・目標

・ドラム教室に通う

余裕があればドラムを習いたい。ベースもギターも楽しいけど、ドラムが一番楽しそうだなってネクライトーキーのライブを見ていたら思った。

・ギターを弾く

一年弾かなかったら指が柔らかくなってしまった。弾き語りができるようになりたい。

・セッションする

簡単な曲でいいからバンド形態で演奏がしたい。

・本を作る/文学フリマに出る

これは本じゃなくてもいいけど、フィクションのなにかを作りたい。

フジロックに行く

・一眼で写真を撮る

最近コンパクトカメラばっかりですっかり一眼に触らなくなってしまったけれど、写真を見返していたらまた一眼で撮りたくなった。旅行に一眼を持って行ってたくさん撮ろうと思う。

・好きな映画に出会う

年始に観た「PERFECT DAYS」のような映画にもっと出会いたい。

・感想を言語化する

嫌いな理由を分析できるようになりたい。悪口じゃなくて、自分と向き合うための感想が書けるようになりたい。

・ブログを月1以上書く

ノルマにすると楽しくなくなっちゃってよくないかもしれないけど、ノルマがないと書かなくなってしまうので目標を作った。ノルマがルーティンに変化して、文章を残すことが日常の一部になっていけばいいなと思う。

・部屋をきれいに保つ

友達がいつ来ても大丈夫なレベルで保ちたい。掃除機買ったからちゃんとかけたい。掃除状況を表にして可視化したものを部屋に貼り出そうと思う。

・自炊

自炊をやめたら食費がやばいことになったので、今年は自炊中心の食生活を送りたい。

・写生大会

暖かくなったら動物園などの場所で友達と絵を描く遊びがやりたい。

・たくさん友達と遊ぶ

あそぶぜ!

日々のソナチネ

日曜の夜に終電に乗り込む人がこんなにいるんだ、と思った。乗り換えの時間が20分くらいあるので、ホームのベンチに座った。ホームにいる30人くらいの人たちみんながひとりで、そのほとんどがスマホをいじっている。わたしの膝にはASIAN KUNG-FU GENERATIONの黒いツアーTシャツがのっかっている。わたしのiPhone、「ASIAN KUNG-FU GENERATION」て変換してくれないからGoogleからコピペしてきた。これを機にiPhoneに学習してほしい。

 

高校時代はCDをたくさん買うお金がなかったのでTSUTAYAのレンタルが音楽の生命線だった。アジカンは同級生のガールズバンドが毎回ライブでやっていたので、TSUTAYAにある旧作は全部ウォークマンに入れて、「君繋ファイブエム」とか「ソルファ」とかをよく聴いていた。でも既にリリースされていたはずの「サーフ ブンガク カマクラ」はそこにはなくて、わたしは江ノ島エスカーを知らないまま大人になった。

高校卒業して、大学生になって、社会人になってしばらくしてできた友達が、エスカーにのりながら音楽を流している動画をTwitterにアップした。サーフ ブンガク カマクラを聴きながら江ノ島で遊んだ、とあったから、Apple Musicでアルバムを探して聴いてみた。「藤沢ルーザー」が流れてすぐに耳が離せなくなって、聴いたことのない曲ばっかりだったのになんだか懐かしかった。それからしばらくして、アルバムの完全版が出て、ツアーが始まった。エスカーの動画を撮影した友達が、ZEPP羽田のライブに誘ってくれた。

このアルバムとわたしの歴史は浅いけど、一曲一曲それぞれに好きなところがあるし、思い出す記憶や感覚もたくさんある。「江ノ島エスカー」が代表曲だと勝手に思ってるんだけど、この曲でいえば最後のサビに行く手前の転調までの流れがめちゃくちゃ好きだし、Twitterの動画と昔家族で乗ったはずの長い長いエスカーのことを思い出す。

 

ライブのセトリの話をします。

 

ライブ中、アルバム曲ももちろんすごくよくて楽しかったけど、それ以外にわたしが高校・大学時代に何度も聴いた曲をたくさんやってくれた。「ループ&ループ」と「アンダースタンド」は同級生バンドが毎回やる曲で、北浦和KYARAの下手側の柵にもたれかかって見上げるボーカルの表情を今でも鮮明に思い出すことができる。特にアンダースタンドは大好きで、大学の時も繰り返し聴いてヒトカラで毎回歌っていた。その後のアンコールで「その訳を」「遥か彼方」「羅針盤」が連続で演奏されて泣きそうになる。羅針盤、生で聴ける日が来るなんて思わなかった。初めて聴いた時、「こんな短い曲ってあっていいの!?」って思った気がする。2年前のフェスで「アジカン何やると思いますか?」「羅針盤やってほしいなぁ」「絶対やらないでしょ」って話した伏線を回収できた。

 

結局、わたしがいつも追い求めてしまうのは未来じゃなくて過去なのだ。なにかを思い出したくて映画を観るし、ライブに行くし、本を読む。思い出してはうまれる寂しさを抱きしめて、その懐かしさに守られている。全く新しいなにかだって、思い出す過去を作るための行為のように感じることがある。きっと明日からのわたしは、羅針盤を聴くたびに今夜のライブを思い出すようになる。それって後ろ向きなことに見えるかもしれないけど、わたしにとってはすごく幸せなことだ。思い出したい過去をたくさん作って、それを支えにして生きていく。そうしたら、真っ暗な未来が少しだけ明るく見えるようになって、少しだけ歩きやすくなる、気がする。

 

ライブで、前の人の輪郭が光に縁取られる景色が好きだ。演者が人影に隠れて見えなくても、その光景と体に響く音が心地よくて楽しい。今日のライブで、何度も「また誰かとバンド演奏がしたい」と強く思った。だけど、他者の介在する趣味の難易度は年を取るごとに段違いに上がっていく。ひとりでやる趣味ですら、仕事の合間にいっぱいいっぱいでやっていて、時間が全然足りない。ライブ中ずっと腰が痛くて、体の衰えが怖くてたまらなくなった。少しでも若いうちに、体が動くうちに、できることをやっておきたい。今年のクリスマスプレゼントは体力と背筋が欲しい。お願いしますって。

生活はできそう?

 

仕事で後輩の女の子と一緒に職場に残って、おしゃべりしながら仕事して、一緒に夕飯食べて、そのまま職場に泊まった。翌日のお昼に帰ろうとしたらその子がいて、「帰ってゆっくり休んでね~」って言ったら「実は、私お迎えを頼んでいて、このまま夫とコストコに買い出しにいくんです。その方が効率いいからって言って来させました」って言われて衝撃だった。生活している。生を活かしている。共同生活者とともに次週の生活に必要な物品や食材を買い出しに行くなんて、生活以外のなにものでもない。一方わたしといえば帰宅後はポケモンスリープを起動してカビゴンにごはんをあげて寝るだけ。食事もウーバーイーツとか松屋とかばかりだから食材なんて必要ない。コストコには永遠に行かない。これでは生活ではなく生きているだけだ。

生活しなくては。と思い、今日は部屋の片づけを行った。引っ越しをしたのは7月なのにいまだに段ボールが10箱以上開かずに残っているから、まずはそれをどうにかしないと生活することができない。間にスプラトゥーンを挟んだりもしながら、なんとか2箱片付けた。だけど本棚に漫画を並べたらつい読みたくなってしまい、「ぼくらのへんたい」という漫画を全巻読んでしまった。

 

ぼくらのへんたい」はコミックリュウで2012年頃から連載されていた漫画で、大学生の頃に出会って、四度の引っ越しを経ても本棚に残っている程度には好きな作品だ。

女装をしている男子中学生三人の三角関係の話で、うちひとりはトランスジェンダーMtF)、ひとりは同性愛者、ひとりは異性愛者。それぞれが悲しみや生きづらさを抱えていて、三人とその友人たちが出会い関わることでそれぞれの生き方を見つけていく。性的虐待、いじめ、身内の不幸などといった描写があるため万人に薦められる作品ではないけれど、わたしはこの漫画が好きでたまに読み返している。初めて読んだ日から10年くらい経っていて、そりゃそうだけど、当時と比較して自分と作品との関わり方が変わったように感じた。過去の自分と話がしたいと思った。

 

Twitterのタイムラインを眺めていたら「みんな!みんな!みんな~!」というコントライブのOP映像が流れてきた。

再生したら音楽がカラスは真っ白の「fake!fake!」だった。これもわたしが大学生のときにヴィレッジヴァンガードで出会ったバンドだ。声の透明感はやくしまるえつこに似ていて、アップテンポでスタイリッシュな音楽に乗ったレースのリボンのような声が好きだった。残念なことに一度もライブに行けないまま解散してしまったけれど、こうして意図せぬ場所でかつて好きだった音楽が聴けると本当に嬉しい。「fake!fake!」の収録されている「おんそくメリーゴーランド」というミニアルバムがとてもいいです。

まだウォークマンに音楽を入れていた時代、ヴィレヴァンで買ったCDをインポートして聴いてたなあ。

ヴィレヴァンって高校生の頃は憧れの場所で、大学生になってしばらくしたら飽きて行かなくなって、社会人になってしばらくして逆にまた行くようになった。映画が始まる前は時間があれば近くのヴィレヴァンをうろつく。別になにも見てないけど、ヴィレヴァンの空気を一周吸って帰ってくる。これは儀式に近い。かつてヴィレヴァンに憧れ通った自分とシンクロしているのだ。こんなにインスタントに懐かしさを浴びることのできる場所、なかなかない。なくならないでほしい。

これは、ヴィレヴァンを待ち合わせ場所にする人間たちのしょうもない恋愛映画。しょうもない恋愛ってことは、つまり最高ってこと。こういうの一緒に観てそのまま感想戦に突入できる同居人がほしいなあ。なんて話、三人でいたとき、新潟でしたなあ。

 

他にも「バービー」を観て「えー」と思ったこととか、「犬のかたちをしているもの」を読み返してまた悲しくなったこととか、書きたいことがたくさんある。でもこれはもっとしっかり推敲して作った文章にしたいから、今日はやめておく。週末はポケモンスリープのスコアの稼ぎ時だから早く寝ないといけないし。あー、また月曜日が始まる。月曜日だー。

寝るために飲んだ睡眠薬が効いてきて、文字が動いたり浮かんだりしだしたので寝ます。

 

大丈夫じゃなくて

 

インスタグラムにでてきた前の職場の知り合いが、怪しい宗教のものを売る人になっていた。帰りの電車は非常停止ボタンで止まり、すぐに動き出した。隣に座った男の人のブーツがわたしとほとんどお揃いだった。向かいの寝ている人はなにかの音楽を聴いていて、わたしもなにかの音楽を聴いている。電車が遅れたのに乗り換えの駅で乗りたい電車は待ってくれていて、車内アナウンスで車掌さんが遅延を謝っている。いつのまにか耳の奥の拍動はきこえなくなり、顔は熱いのに既に酔いがさめてきたことを自覚する。エスカレーターの上でなにかを探す人。こんな時間に駅のロータリーにいる迎車のタクシー。会いたい人に会いたい夜だ。

 

カネコアヤノの武道館に行ってきました。

プロジェクションマッピングやいろんないろの光を使うでもなく、スモークと彩度の違うオレンジの光だけであそこまで世界が表現できることにとても驚いたし、意味がわからないくらい音楽がよかった。MCもないまま曲だけをただひたすら演奏して、最後にちょっと「ありがとうございます」を繰り返すだけのMCをして、客席に返す早口の「ありがとうございます」と「生まれてきてよかった」という言葉をきいて、カネコアヤノという人間のことも大好きになってしまった。あなたが生まれてきてくれてよかった。

会いたい人がたくさんいることはとても幸せなことで、だけど会えない人もいて、もう会えなくなってしまった人に会う手段が音楽しかなかった。だから武道館の今日のあの席は、2曲目の「アーケード」の最初の音が鳴った瞬間から、大好きな友達の隣であり、Twitterのタイムラインであり、大晦日カラオケボックスの中であり、今はもう知らない誰かが住んでいる狭いワンルームのベッドの上だった。「セゾン」を聴けば嫌いだったぼろぼろの座椅子の縞模様が浮かんだし、何度も聴いたはずの「光の方へ」は、あなたの歌じゃなくてわたしの歌だった。きっとふかふかの布団と枕があれば、あなたと月までバカンスにだって行けたはずだ。

 

自分の選んできたものが本当に正しかったのか、選びとろうとしているものが本当に正しいものなのか、そういうことをよく考える。だれかと離れるということ、仕事を辞めるということ、違う場所に住むということ。人生の中の大きな選択を、なにかを捨てるということを、どうしたら正しくあれたのか、ずっとずっと考えている。

わたしはどうしてこうも歩くのが遅いのだろう。汚れたブーツを脱いで重たいリュックをおろせたら、身軽になってスキップだってできるのに。捨てるには惜しいものがたくさんありすぎるし、それがあるからわたしでいられるのだし、だけどやっぱり、その荷物を、惜しいけど大事にしなくていいはずのものを置いておける場所が、どこかにあってほしいと思う。いつか自分で取りに帰るまでとっておいてもらえたら、きっとなんだってできるんだろうな。でも取りに帰った時にそれがそこにある保証がないから、こわくて荷物を手放せない。手放せないから両手は塞がれていて、結局なにも手に入らない。たいした荷物でもないのにね。

仕事をやめたらやりたかったアルバイトの仕事に就きたいと、みんなに話している。まわりが結婚したり資格を取ったりしている中、別に叶えたい夢があるわけでもないのに、ただやってみたかったってだけで、わたしだけそんなことをしていていいのだろうか。それでなんにも残らなかったら、わたしは後悔せずに生きられるのだろうか。わたしのまわりには「ちゃんとしたひと」があまりに多いし、数少ない「ちゃんとしてないひと」も今はもうちゃんとしてしまっているみたい。じゃあちゃんとすることに向いてないわたしはどうしたらいいだろう。人生が40くらいで幕を閉じるのであれば、なにも迷わず好き勝手できるのにって、毎日思っている。命が終わるボタンが欲しい。

 

リップクリームのせいで浮いた唇の皮をさわりながら、ちょっとだけ残るアルコールの気配を殺すように、お茶を飲んだから寝る。

黄色い花を飾ろうよ

 

 

 

最近ちょっと生活ができるようになって自炊もし始めたのに、まただめになってしまった。寝たら明日になって仕事に行かなくちゃいけなくなるのが嫌で無駄に夜更かしをして、翌日眠くてしんどいみたいな毎日を繰り返している。その反動で、日曜日はだいたい寝て終わる。

いろんな嫌なことがあって、そこに将来への不安と無力感が合わさって、わたしは一体何がしたいんだろうという虚無感に襲われることが定期的にある。

 

映画を観るのは楽しい。けど楽しくないこともあるし、何も感じないこともある。感想をfilmarksに書いて、たまにラジオで話す。こうして、わたしが映画を観た、という記録が残る。記録だけが残る。

 

繰り返す日々でできたつまらない人生の中に、強みとか特徴とか、何かそういうのが少しでもなくちゃいけない気がして、追われるようにコンテンツを追う。楽しむための手段だったはずのものが消費という目的になってしまっている。費やして消えるってなんて悲しい言葉なんだろう。

 

 

今日はBUMP OF CHICKENの3年ぶりのライブに行く。母が熱心なファンなので、バンプがライブをすれば毎回必ずチケットを取って誘ってくれる。非常にありがたいのだけれど、自分の根底を形成した音楽を久しぶりに目の当たりにして心が揺れているところを母親に見られるのは恥ずかしくて居心地が悪くもある。

バンプに限らず最近行ったライブではだいたい泣いているので、わたしは今日も泣いてしまうのだろう。

 

わたしがバンプを聴き始めたのは涙のふるさとのエアーズのCMをやっていた頃で、わたしの中のBUMP OF CHICKENは今もあの頃のBUMP OF CHICKENだ。なんとなくCOSMONAUT以降とそれより前に境目があって、それがいいとか悪いとかではなく、わたしの中ではそうなっている。たぶん、その頃から部屋で泣きながら歌詞カードを読んで音楽を聴くということをしなくなったからだと思う。

高校生になったわたしは軽音部に入って、音楽に救いではなく楽しさを求めるようになった。部活のライブで楽しめるように、知らない曲がないように、音楽を「予習」するようになった。その結果好きなものの幅が広がったし、高校生のときに好きだった音楽は間違いなく今のわたしを形成しているけど、自分の「好き」に「消費」の側面がうまれたのはあの頃からだったんじゃないかと思う。

 

電車の中で、ライブに向けて新しい曲を聴いている。天秤が掲げた方を捨てるしかなかった藤原基央が「正しさは変わりゆくし、自分がそれに当てはまらなくてもいい」ってかんじの歌詞を書いている。そりゃ、取るもんな、歳。歳取ったらいろんなことがあるよね。たくさん経験してたくさん考えて、いろんな許しを得ていろんなものを許したんだろうな。

 

最近のBUMP OF CHICKENの曲たちに感じていることと一年前にシンエヴァに感じたことの性質はたぶん同じもので、思春期の自分に寄り添ってくれた存在がわたしを置いて先に行ってしまったような感覚なのだと思う。

昨年わたしは、orbital periodを出したBUMP OF CHICKENと同じ年齢になった。いろいろ思うところがあって改めてバンプの曲を聴くようになって、中学生のわたしには意味が理解できなくて好きじゃなかった曲を好きになったり、歌詞に思うことが変わっていたりして、自分も少しずつ変わっていってるのだと感じた。

新しく変わっていくひとやものを、無理に好きになろうとしたり受け入れようとしたりしなくていい。バンプエヴァに置いて行かれたのではなく、ただちょっと先で待っていてくれていただけだと思うから。これからもゆっくり後ろを歩いていけばいい。

わたしがもっと大人になって今聴いているこの曲の違った表情に気づくことができる日を楽しみにしているし、こうやって小さな生きる意味を少しずつ重ねていけたらいいな。

 

 

そして今、ライブが終わって電車でブログの続きを書いている。

25周年記念ライブなので、バンプの誕生から今までのアルバムをめくっているようなライブだった。隣の女の子がずっと号泣する横で、わたしもまぁまぁずっと泣いていた。

すごくすごく考え抜かれたセットリストだったと思う。俺たち4人でBUMP OF CHICKENなんだという意思を感じた。

誰かとライブの話がしたくて仕方がない。

 

これはネタバレにならないと思うので書いちゃうけど、藤原基央の「健やか穏やかにするといい」という言葉が非常に良かったので、帰ったら健やか穏やかにしようと思う。

 

健やか穏やかに。良い言葉だ。

 

 

 

 

今は仕事の話しないで

 

 

ネクライトーキーのワンマン「ゴーゴートーキーズ!2022 野外音楽堂編」に行ってきた。

数年ぶりの日比谷野音は快晴のライブ日和で、座席一個開けで非常に快適だった。野音のライブは屋外フェスのトリを見てるような気持ちになれて、それだけでもすごく楽しい。

 

ネクライトーキーとは、社会人として生まれてからずっと一緒に育ってきた。

右も左もわからない社会人一年目、入職してすぐにYouTubeの広告から「オシャレ大作戦」のMVに飛んで、一耳惚れして公式サイトから「オシャレ大作戦」のシングルと「タイフー!」のデータを購入した。iPhoneに入れて聴くようになって、最もキツい部署を5ヶ月間ローテートしていた時には毎朝ネクライトーキーを聴きながら準備をして、仕事に慣れてきた頃ファーストアルバムの「ONE!」がリリースされた。リリースツアーの千秋楽で初めてネクライトーキーのライブに行って、まだ荒削りだったけれど売れ始めで一生懸命な彼らの音楽を聴いて、「生きるの辛いけど、次のライブを楽しみにすれば頑張れるな」って思えて、そこからネクライトーキーのツアーは人生の休憩地点みたいになっている。

最初は音も安定せずそんなに上手じゃなかったもっさの歌がライブに行く度にどんどん上手になっていって、バンドとしての一体感や曲の完成度がどんどん高まって、メジャーデビューして、フェスにも出るようになって、タイアップもやって、ライブ中の「いつものやつ」も増えてきて、「許せ!服部」が毎回バージョンアップして。こんなに色々なところが成長しているのに唯一全く成長しないグダグダなもっさのMCも、すごく愛おしい。ずっとわたしと一緒にあった音楽だから、もう好きとか嫌いとかそういうところじゃなくなってきている。

 

有名になってからは歌詞の内容がちょっとだけ変わって少し寂しくもあった。それでも有名になったことで音楽好きの人に名前を出しても「誰?」って言われなくなって、人とネクライトーキーの話ができるようになったのがすごく嬉しい。ライブに一緒に行く友達までできて、恵まれすぎているなと思う。

 

そんなネクライトーキーのわたしにとっては4ヶ月ぶりのライブ。

入場SEを聴いていたらそれだけで嬉しくて泣きそうになって、そんなこと今までなかったから、「よっぽど今の生活が嫌なんだな」って改めて思った。久しぶりに生きてる感じがした。

今日のライブがなかったら、気づかないうちに死んじゃってたかもしれない。ライフポイントが回復できてよかった。もっさが「毎日忙しいのにライブに来てくれてありがとう」って言ってて、「ほんとに毎日忙しいよなぁ」って思ったし、「あなたたちのお陰で生きてるよ」って思った。ありがとう。

 

欲を言うと初期曲をもっとやって欲しいなぁなんて思うんだけど、新しい曲が増えていくのは当たり前で喜ばしいことでもあるし、だからこそ一回一回のライブを大切にできるんだよね。

タイムマシンがあるなら、「ONE!」のリリースツアーにまた行きたいな。やっぱり初めて聴いたフルアルバムが一番好きだし一番思い入れがある。またライブで「ゆうな」が聴きたい。

 

明日は朝6時っていう鬼みたいな時間に出勤なので、本当は余韻に浸って音楽を聴きたいのに、家に着いたら速攻寝なくちゃいけない。

どんなに週末が楽しくたってやっぱり仕事は辛いけれど、通勤の車でネクライトーキーを聴きながらまた頑張ろうね。

 

このブログ読んでくれた人、良かったら「ONE!」聴いてみてね。