フープフラフープ

はらの趣味です

軒下あるかほりっくガール

 

本日雨の降る軒下でダラダラと盃を交わした友人から、「葬送のフリーレン」という漫画を勧められた。

サンデーうぇぶりというアプリで無料で7話まで読めたので、酔いもさめないまま夜更かしをして読んでいる。昔2話までTwitterか何かで読んだのだが、続きも追っていればよかったとまあまあ後悔するくらいには面白かったし気に入った。

 

勇者一行が魔王を倒したその後の話で、主人公である長寿のエルフの魔法使い以外のメンバーはみんな年老いたり既に天寿を全うしたりしている。エルフはかつての仲間である僧侶から託された魔法使い見習いの少女とともに魔法を探す旅をする。

今のところ大冒険や激しい戦闘といった描写はなく、お掃除や物作りなどといった簡単なお手伝いをして報酬に魔法を教えてもらう粛々とした旅で、その中でかつての魔王討伐の旅をなぞり、仲間を想い、その思い出に花を添えていく。

 

エルフの目的がはっきりと明かされているわけではないが、どうやら「わたしは仲間のことを何も知らないし知ろうともしなかった。知らないままに亡くなってしまった」という後悔のもと魔法を集めているらしい。

数千年の命を持つエルフにとって、魔王討伐の旅の10年はほんの一瞬に過ぎないのかもしれない。仮に寿命が千年程度だとするならば、人間時間に換算して1年弱ということになる。

 

漫画を読み進めると、エルフがいかに仲間を大切に思っていたのかがなんとなく感じ取れる。そしてそれは、何も知らないと言うには無理がある程に互いを知ってたくさんの思い出を残したからこそのものだとわかる。実際に、ことあるごとに回想シーンが挟まれる構成になっている。

そんな中、弟子が「あなたがわたしを知ろうとしてくれたことが嬉しい」と伝えるシーンがあり、それを読んでちょっと泣いてしまった。

 

葬送のフリーレンを勧めてくれた友人とは知り合って1年になる。

その友人は部屋も綺麗だし自炊も出汁からとるし早起きしてコーヒーを淹れて朝ごはんを作るしとにかく生活が丁寧で、がさつなわたしと正反対すぎて知り合いたての頃は仲良くならないだろうなと思っていた。なんならわたしみたいなタイプを嫌ってそうだなとすら思っていた。

そんなふうに生活も正反対だし、はじめは趣味も音楽以外ほとんど被っていなかった。

それなのに今こうして会って楽しく話ができるのは、今まではただ単に気が合うだけなのだと思っていたが、本当は(わたしの自惚れかもしれないが)友人がわたしをわかろうと努力してくれていたお陰だったのだ。友人の口癖は、「知ろうとしないとわからないからね」で、わたしが好きなものや勧めたものを聴いたり観たり好きになってくれた。

既に互いが好きなものを共有するだけでなく、相手を知ろうとする努力がないと深い人間関係は築けないのだと、逆に言えば知ろうとさえすればどんなに短い期間でも仲良くなれるのだと教えてもらった。気付くのが遅すぎた感はあるが、今までの人間関係でおおむねその努力を怠ってきたことを割と後悔している。だからわたしは友達が少ないし、仲良くなるのに時間がかかるのだ。

 

 

話は変わるが、葬送のフリーレンを読んで、最近みた「エターナルズ」という映画を思い出した。テイストは全く違うが、かつて悪と戦った者たちのその後を描いているということや主人公が(エターナルズはみんなだけど)人間と比べて長寿というところが似ている。

 

エンドロールのクレジットの横でキャラクター達のその後が描かれている映画が好きだ。その瞬間が、一番そのキャラクターを理解できている気がする。最近だと「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」のエンドロールがそんなかんじで楽しかった。

エターナルズでは、物語の中盤をキャラクターのその後を描くことに割いてくれている。その後をなぞりながら仲間をもう一度集めていく過程がわたしにとっては壮大なエンドロールだったし、仲間集め後のお話はもはやポストクレジットシーンであった。って言うと言い過ぎかもしれないけど。

葬送のフリーレンも第1話が完全にエンドロールで、もうその時点で読みながらめちゃくちゃワクワクしていた。エンドロールの物語が好きな人にはとってもおすすめ。エターナルズも葬送のフリーレンも。

 

長く生きる種族と人間の関係性という点では、葬送のフリーレンの方がより深く掘り下げられているように思う。エターナルズはアメコミ映画で、主題はあくまで地球を守るヒーローたちの物語なのだ。ただそんな中で、長寿だからこそ見守ることのできた人間たちの長い歴史ひとつひとつが彼らの原動力になっているという描写は非常に良かった。エンドゲームであれだけ綺麗に終わったマーベルシネマティックユニバースの世界を、その物語を踏まえた上で新しく構築していくのは流石としか言いようがない。

 

結局何が言いたいのかよくわからなくなってしまったけれど、大切にしたい相手のことは知る努力をしようと思えたよき夜になりましたとさ。