フープフラフープ

はらの趣味です

ずっとここにあるよ

ハイキュー!!の映画を観るために2月19日からアニメをマラソンしていた。本編85話+番外編5話の計90話を、ちょうど4週間かけて観たことになる。長いようであっという間で、烏野の人たちと一緒に泣いたり笑ったりドキドキしたりするのがすごく楽しかった。映画もめちゃくちゃ楽しみだけど、この楽しい時間が終わってしまうのがすごく寂しい。受験に合格してあとは卒業式を待つだけになって、追われるものがなくなって空っぽの状態でだらだらする幸せを満喫したあの期間みたいだ。

 

今観たい映画ランキング

  1. ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦
  2. DUNE 砂の惑星 PART2
  3. アーガイル
  4. 変な家
  5. 落下の解剖学
  6. ドラえもん 地球交響曲

未公開だと、デデデデ、ゴーストバスターズオッペンハイマーあたりが楽しみ。DUNEは時間が長いから元気な時しか行けないよなあ。変な家は原作ファンに不評みたいだけど、ホラーは文章と映像で恐怖の軸や受け手が使う脳の部分が変わるから、原作ありホラーって映像化するの難しいだろうなあって思う。あたしゃぶっとびトンデモホラーが観たいぜ。

 

改めてハイキュー!!、本当によかった。原作も大好きだけど、この作品は映像化がものすごく映える。スポーツ作品だから映えるっていうのもあるし、意外と原作の文字の量が多いから、文章が文字ではなく音声として流れていく方がテンポがよくて馴染みやすく感じる。なにより、スピード感・迫力の漫画的表現をうまくアニメーションに落とし込めていることが大きい。『令和ロマンの娯楽がたり』でくるまさんが”リアルとリアリティ”の話をする際に、漫画とアニメーションだと想像の余地が広い漫画の方が好きだというようなことを言っていた(気がする)。確かにアニメ化して思っていたのと違ったり映像がしょぼかったりするとがっかりするけど、その想像の上をいくアニメーションを見せられたとき、アニメが大好きなのだということを強く実感する。文章、漫画、音声、アニメーション、実写、その他にも創作媒体ってわたしが考えつくよりきっとずっとたくさんあるんだろうけど、時間をかけて何本もの作品に触れていく中で”その媒体だからこその表現”を活かしている作品に出会えたとき、『ハイキュー!!』でキャラクター達が体感していた”バレーを好きになる瞬間”と同じ類いのものを得られている気がする。その感覚が忘れられないから、わたしは創作物が好きなのだと思う。

 

ハイキュー!!の余韻に浸りたくて、すぐに主題歌のプレイリストを作って、流しながら洗濯物を干したり歌ったり踊ったりごろごろしたりしていた。『イマジネーション』と『天地ガエシ』以外はフルでちゃんと聴くのが初めてで、TV版との違いを見つけていくだけで楽しい。うちのテレビは音が悪いので、スピーカーで改めて聴くとベースがよく聞こえる。たとえばtacicaの『LEO』なんかTV版と全然印象が変わる。ベースが静かに力強く動いていて、それこそ烏野の選手たちみたいで、コピーしたらすごく楽しくて気持ちいいだろうなあと思った。どの曲もアニメで聴いた時よりずっとずっと好きになった。ハイキュー!!の主題歌順番にカラオケで歌う遊びがしたい。

tacicaをわたしに教えてくれたのは、高校時代に組んでいたバンドのギターの女の子だった。その子はBUMPが好きで、「北のBUMPって言われてるバンドがあるよ」と『jacaranda』のCDを貸してくれた。一緒に東京ワンマンに行って、出待ちして猪狩さんにサインを貰った。当時のわたしは出待ちってなにをすることなのか知らなかったからサインを貰うものがなくて、失礼ながら折りたたみ傘の薄ピンクの袋にサインをいただいた。彼女は他にも様々な音楽を知っていて、ギターが上手でおしゃれで賢くてかわいらしい子だった。

その子含むバンドメンバーと、数年ぶりに今日集まった。知り合ってから15年くらい経つのに3人とも見た目が全然変わってなくて、わたしも「全然変わらないね」って言われた。だけどギターはあの頃知らなかったロングコートダディのステッカーをスマホケースに入れていて、ドラムはどんどん転職して違う世界に行こうとしていて、ボーカルは結婚して子供ができていた。あの頃開いていなかったピアスホールがみんなの耳にあった。会わない間に知らないことが増えて、言葉と言葉の隙間を埋めるように近況報告や思い出話をする。何を話そうかと少し無言になる時間があったりして、正直「時間なんて少しも経っていないかのように大いに盛り上がる」なんてことはなかったんだけど、そのぎこちなさが愛おしかった。その間を手探りで埋める作業こそが、大人になったわたしたちに必要な作業なのだと思った。また近いうちに3人に会いたいと思った。

同時に、取り巻く環境によって価値観や倫理観が大きく変わるのだということを実感させられた。普段接している人は同業種の人しかいないしインターネットの友達とは仕事の話はしないから、他業種の人と仕事の話をしたのは久しぶりだった。わたしの根底は揺らいでいないと思うけど、いつのまにか失っちゃいけないものまで失っていたかもしれないことに気づいて、このまま今の考え方にどっぷり浸からないように気をつけようと思った。3人とも優しく素敵な大人になっていて、とても羨ましかった。

帰りにちらりと見えたドラムのスマホの待ち受けがaikoで、高校時代からずっと彼女の大好きなものが変わっていないことに嬉しくなった。変わっていくことが当たり前であり、良い変化は退化ではなく進化なのだから絶対あった方がいい。だけど変わらない物が光って見える。思い出が輝いている。共通の記憶を確かめ合うことが、嬉しくて仕方ない。大好きだったあの時間が確かなものであったと、ずっとどこかに残しておきたい。