すり減っている。仕事のためにこんなにすり減るのは間違っている。コロナウイルスの侵攻が所属部署に及び、部署の戦力がわたしだけになったのでえらい量の仕事が降りかかってきてえらい時間残業している。そんな中6月の雨かと思うほど次から次へと降って湧いてくる新しい仕事や疲れによるミスに心がすり減って「あ、これあといっこなにかあったら泣くわ」という状態になってしまった。帰り道、好きな音楽が聴けなかった。
自分を甘やかしてください、と言われてヨシ甘やかすか!と意気込んだところで、甘やかし方がわからなくて困ってしまった。なにをしたらわたしは喜ぶんだろうな。「なんかうまいもん食う」とかしか思い浮かばなくて、そんなことしたって家にある食べ物じゃたかが知れてるよなと悲しくなって、ちょうど今しがた連絡がきた仲のいい人たちに自分の甘やかし方を尋ねた。勝手に引用してごめんね。
「ホットアイマスクをして曲を聴きます」
いちばんにきた回答がすぐにできそうだったので試してみた。いつかの誕生日プレゼントでもらったあずきのホットアイマスクがどこかにあった気がするけれど見当たらなくて、タオルを濡らしてチンしてホットアイマスクの代わりにした。ベッドに横になり、イヤホンをして、おすすめしてもらった曲をかけて、タオルを目の上にのせる。はじめはタオルがずっしりと重く感じて呼吸もしにくい感じがするけれど、慣れてくると疲れて取れそうになっていた眼球にいい感じに温感がしみわたる。イヤホンからステレオできこえてくる音と瞼の裏の暗闇がつくる世界、宇宙の中に浮かぶ自分のまわりに音がゆらめいているみたいで本当によくて「これが音楽を聴くってことだ」とひとりでドヤってしまった。「hot eye mask」というプレイリストを作ったのだけど、Spotifyがプレイリストが終わった後も勝手にそれっぽい曲を流してくれるのでありがたい。
教えてもらったなかでいちばん好きな曲。
「美味しい朝ごはん食べて、好きな服着る瞬間かもしれない。
水族館の大きい水槽の前でぼーっとするのも自分甘やかしている時間かも」
なにその素敵な回答!とお返事してしまった。それをやっている自分を想像するだけでけっこう満足度が高まるくらい素敵。この友達と新潟の水族館の広場みたいなところで数十分ぼーっと水槽を眺めたことがあって、またやりたいなと思った。佐世保の海きららの大水槽がおすすめらしいので、いつか行こうと思う。
好きな服を着た日はそれだけで背筋がちょっと伸びる感覚があって好き。朝ごはんは朝弱いから残念だけど却下。でもさわやかな朝にコーヒーとパン、っていうのはすごく憧れます。
「昼まで寝るとか?」
こないだのエントリにでてきた親友の言葉。あまりにも怠惰でわたしに似ていて笑ってしまった。あんなに寝るのが大好きだったのに、最近のわたしは「寝ることは自分を甘やかすこと」って感覚を忘れていて、ただただ体力回復のために睡眠をとっていた気がする。起きたら歯を食いしばった後の感覚が残っていることもある。たくさん寝て夢をみるのが大好きだった頃のことを思い出せてよかった。寝るって気持ちよくて楽しいんだ。
「私は旅行とか爆買いかな」
旅行、行けてないなぁ。今年はまとまった休みが取れなさそうなので、一度も行けないと思う。「非日常」がもたらすときめきや高揚感を手っ取り早く受け取れるのが映画で、実際に体験できるのが旅行やホテルステイ、な気がする。帰りの新幹線の中の夕陽と寝ちゃった友達の横顔と「楽しかったね」の言葉があればそれだけで生きていける。
爆買い、やりたいです。お金ください。
「本読んで映画みる
Apple Musicで自分のプレイリストの曲順をこつこつ並び替えてるのが好き!」
本や映画も本来は「甘やかし」なんだよな。生活に余裕がなくなってくると「せめて」という気持ちで追われるようにコンテンツを摂取しようとしちゃうことがあるから、この「甘やかし」マインドは本当に忘れないようにしたい。
プレイリストを作る作業の楽しさ、あるよね。出来上がったものを眺めるのも楽しいし、誰かのプレイリストを眺めたり聴いたりするのも楽しい。そこには作った人にしかわからない文脈や思い出が詰まっている。あなたのことを少しわかった気にさせてくれる。
そうこうやり取りしていたら日付が変わって、「お誕生日おめでとう」のラインが来た。忙しすぎて本当に完全に誕生日だってこと忘れてたから、驚いて涙が出ちゃった。ありがとう。大好きです。
歳を重ねる度に、毎年聴く曲を聴いて寝ます。
おやすみなさい、いい夢を。