フープフラフープ

はらの趣味です

燦々とした気持ちでいよう

 

バスは時間を守らない。11分発のバスを迎えるためにバス停に小走りで向かい、既にひとり並んでいた女の人の後ろに立つ。11分を過ぎる前に、女の人はすっと歩き出していなくなってしまった。ポケットに手を入れて、傘を左の腕にひっかけて、春の雨の日に有楽町で急遽購入した長靴をみつめる。雨はやんでいた。9分遅れてきたバスに乗り込み、いつもの喫茶店の前で降りる。あたたかいおしぼりで冷えた指先をつつんで、ほうれん草のパスタを食べて、甘さを控えめにしてもらったラテとチーズケーキを食べながら読書をして、店を出てまたバスを待つ。道路が混雑する夕方はバスが何分遅れてくるのか予想がつかなくて、やっぱり歩いた方が早いんじゃないかとか、でももうここで数分待っちゃったのが勿体無いしとか、そういうチキンレースみたいなことを考えながら寒さに震えている。歩いた方が寒くないんだろうな〜温かいお茶飲んだのにもう冷えてるな〜と思っていたら4分遅れのバスがきて、ありがたく駅まで運んでもらう。いつくるかわからないものを待つのは苦手だ。

帰りの電車では、床に落ちている薄緑色のハンカチとか、耳当てとアイマスクをして爆睡してるおじさんとか、楽しそうに談笑する高校生とか、そういうのを視界の端でとらえながら音楽を聴いた。最寄りに着くとまた雨が降り始めていた。前に住んでいた家の最寄りの駅ビルで買った、持ち手の金属がとれてしまった傘をひらいて、左手で持つ。「冬に雨が降ると、片手を傘のためにポケットから出さなきゃいけないから、やだ」「そのために手袋ってあるんだよ、知ってた?」またくる雨の日のために、はやく手袋を買わなくちゃ。

今日は音楽を歌いたい気持ち。はやく着替えてギターをチューニングして、小さい声で好きな音楽を歌おう。