フープフラフープ

はらの趣味です

最強の世界できちゃってるわな

 

 

 

映像研には手を出すな!についに手を出した。

もともと絵柄と雰囲気みて絶対好きだなって思ってたし監督が四畳半の湯浅監督だしでずっと観たかったんだけど機会なくて逃してたところに、昨日フジテレビオンデマンドにあることに気づいて観るっきゃねえとなった次第。

 

 

オープニングが良いアニメはその時点で良作である。

もう音楽ありきの映像でなんなら使い回しばっかりなのに、そのチープさが逆におしゃれというずるさ。この映像だけでわたしがこのアニメを好きになることがもうわかる。安っぽいプリズム背景たまんねえ。色使いかわええ。

てかヒップホップってこんなにかっこよかったんだ。今まで触れたことなかったけどめちゃくちゃにかっこいいじゃん。ラップってこんなに気持ちがいいんだ。

歌詞もすごくいいなぁアニメの内容に沿った歌詞って大好き。これぞオープニング。めんどくささこそが物作りの醍醐味。

あと、サビの前で手拍子ふたつ入る曲、大好物です。

 

 

 

というわけで開始数分ではらの好きアニメの棚に並べられてしまった映像研、中身も非常に素晴らしかった。まだ1話しか見ていない。見ていないけどそのたった1話にいたく感動してこれを書いている。こんな感覚は久しぶりだ。

 

 

簡単に紹介すると、冒険が大好きで自分の考えた世界をアニメーションとして作り上げたい浅草とその親友らしき金の亡者の金森が、アニメが大好きな読者モデル水崎とガールミーツガールして一緒にアニメーションを作りましょうというお話。

 

そもそも世界観が、ああこの作者は冒険と設定作りが大好きなんだなと思えるもので、水上のダンジョンみたいな学校なんてワクワクするしかないじゃないの。その景色をわたしもこの目で見てみたい。現実ではそれが叶わないから、こうしてアニメを見てしまうんだろうな。

 

なにより最高だったのはBパートだ。

水崎の汚れた服を洗うために訪れたランドリー、渡り廊下から温泉、低い入り口、古い洗濯機、2階で飲んだいちご牛乳、畳の休憩室、ブラウン管テレビ、テープで貼り付けられた整理整頓の注意書き、横に積まれた雑誌、コインランドリィという看板、開けるのにガラガラって音がしそうな窓、もう全部が大好き。

そして、大好きなものを共有する2人。

2人が本当にアニメーションを愛しているのが伝わってくる。ひとりじゃできなかったことがふたりになることで少しずつ完成に近づいていく感動。今まで考えたこともなかった新たな視点を知る驚き。

素晴らしかったのが、重ね合わせた絵に描かれたメカから始まる妄想。冒険の世界に行きたいっていう夢を自分の空想の世界で叶えるという、わたしたちがアニメを見て擬似的に体験しているワクワクを、彼女たちは自力で作り上げている。トンボ型のメカに乗り込む姿は本当に活き活きとしていて、彼女たちだって作り上げられたフィクションの登場人物なのに、彼女たちがすごくすごく羨ましかった。

彼女たちが体験した感動には到底及ばないんだろうけど、そんな感動とワクワクを見ているだけで疑似体験できたBパートはアニメーションという文化の本質だったし、それだけで価値の高い映像体験だった。

1話だけでいいから、映画館で、大きなスクリーンで、あの世界に入り浸ってみたいと思った。

 

 

絵が描ける人間が羨ましい。

何かをゼロから生み出せる人間が羨ましい。

 

わたしも絵を描くのがすごく好きだった。

幼い頃は漫画家になりたかった。小学5年生で初めて漫画を描いて、才能がないことに気づいていつしか描くのを辞めてしまった。努力が足りなかったのか、才能が皆無だったのか。飽きっぽいわたしは恐らくそのどっちもだったのだろう。

 

文章を書くのも好きだ。ただ何かをゼロから作り出すのはどうも苦手で、話を考えるなんて無理無理の無理だった。どうしても何かのパクリになってしまう。だからこうして生産性のないことをつらつら書き連ねるのが一番性に合っている。

 

ありがたいことに、大学時代に作詞を頼まれたことがあった。作曲でお金を稼いでいる友人にはらちゃんの世界観の歌詞が欲しいと言われてすごく嬉しかった。はじめから諦めて挑戦しようともせずに断ってしまったことを今でも少し後悔している。せっかく肯定してもらえた世界観というものが、よく見たら空っぽでどこにでもあるものだったってわかってしまうのが怖かった。

 

物語を、大好きな最強の世界を自分で生み出せる人間は最強だ。心の中だけにあった世界が現実に形を持って現れるなんて、魔法かドラえもんの道具みたいなことを平然とやってのける人間が同じ人間だなんて信じられない。わたしもそうなりたかった。思い描く世界を絵の中に閉じ込めてみたかった。心の底を物語に映してみたかった。懐かしい思い出を音楽の裏に隠してみたかった。

 

そんなわたしの夢を疑似的に叶えてくれるであろうこのアニメをこれからあと11話ぶんも体験できるなんて、楽しみすぎてちょっとドキドキしてきた。

 

 

部屋のテレビがいつか大きくなったら、電気を消してポップコーンを片手にまた映像研の1話を観よう。忘れてしまった夢を思い出そう。