フープフラフープ

はらの趣味です

だって僕はひとり

 

山内マリコ著「あたしたちよくやってる」を読み終わった。普段言語化せずにスルーしたり押し込めたりしてきた気持ちや考え方を的確に言語化してくれているような一冊だった。

人にはあまり興味がないから、エッセイやインタビューよりも知らない世界を体験したり自分の記憶を重ねたりできる小説のほうが好きだと思っていた。でもエッセイで誰かの日常の羅列とそれに伴う思考を知ることも面白いなって初めて気づいて、これってブログを読む面白さに似ているなって思った。

時には痛いところをつかれるような一節もあったり、自明なのに全く気づいていなかったことに気づかされたりして、なんとなくこれでいいのだとやってきた生き方をちょっと見直すきっかけになった気がする。

f:id:suimin2:20220901222214j:image

とはいってもやることは山積みなので、今は具体的にできることはないな。

 

その「やること」をしに、今日も前の職場に来た。その前に駅ビルで本を漁って「おいしいごはんが食べられますように」「君は永遠にそいつらより若い」とPOPEYEの東京特集を買った。本を探してて声をかけたショートカットの店員さんが可愛らしくて笑顔がとても素敵だった。「褒められ」って自分なら嬉しいしお礼言うついでに褒めようかな、と思ったけど客観的に考えるとどう言ってもキモいからやめた。

その場その場で発生する気持ちは少しすると消えてしまってもったいないから、「好き」も「嬉しい」もできるだけ言ってしまおうと思っている。キモくない範囲で。今回は言わない代わりに精一杯の笑顔でお礼を言った。笑顔が下手で「お礼言うとき半笑いだね」って言われるけど、マスクしてれば大丈夫なはず。

 

半笑いだねって言ってきた人とはよくお互いのしょうもない恋愛相談をしている。大学三年生くらいの頃に好きなタイプをきかれて「ありがとうとごめんなさいが言える人」って答えた時に「あ〜いつも半笑いでアリガトウ…って言ってるよね」とにこにこ言われたシーンを今でも脳内再生できる。「アリガトウ…」のところがわたしのモノマネになっていて、そんなこと言われたらけっこう嫌なはずなのに、この人に言われると不思議と嫌な気持ちがしない。

去年くらいに飲みに行ったら「細かいことでもお礼を言うようにしてる。はらちゃんに言われてからいいなと思ってそうするようになった」と言われ、自分の言葉が知らないところで影響を与えていたことがとても嬉しかった。同時に、あの時モノマネをされても嫌じゃなかった理由がわかった。きっと根底でちゃんとわたしを尊重してくれているから、何を言われても嫌じゃないんだろうな。

お互い鬱々しい性格をしていてふたりとも仕事で気持ちが落ち込みすぎて夏前の遊びの約束が流れたから、秋になったらまた誘ってみようかな。

 

そのあとミスドに汁そばを食べにきた。ミスドの汁そば、たまにめちゃくちゃ食べたくなって食べてみると「案外そうでもないな…」と毎回なっている気がする。わたしにはそういう「実際そうでもないのに脳内で美味しいものと定義づけされているもの」がいくつかある。食べてみてそうでもないことを思い出しても、時が経つと全部忘れてまた「食べたい!!」ってなっちゃう。どうでもいいことに割く脳内メモリが雑魚なんだと思う。

牛乳を氷無しで頼んだら氷が入った牛乳を手渡された。「氷無し頼んだんですけど…」を言うか言うまいか悩んで、それを言ったら捨てられてしまう氷入り牛乳のことが頭をよぎって言わなかった。氷の入った牛乳はつめたくて美味しかった。氷が溶ける前に飲まなければいけなかったけど、氷入りの牛乳でよかったかも。